【音楽散歩】「フォスター・夢路より」を歌う [音楽]
こんにちは。
歌のつばさのnaoka19です。
「みなとみらい昼どき合唱団」と「洋光台混声合唱団」で
歌っていますが、ソロは歌ったことはありませんでした。
子供のころの学芸会でも思い出はありません。
でも憧れはありました。
だからアマでもソロを歌っている人達が羨ましかった。
それが、なんと自分が8月に歌うことになった。
昼どきで合唱指導をされている山田先生の
門下生のグループの発表会「グループEKO」
で歌うことになったのです。
自分ながら「大丈夫か?」という気持ちですが、
挑戦してみようと思います。
5月15日、初練習でしたが
山田先生の指導は合唱練習時とはまるで違い、もうボロボロ,,,
でもへこたれずに、頑張ろうと思います。
さて、肝心な歌う曲ですが、
一曲は「アンデイ・ムジーク」(楽に寄せて)を原語で。
これは、前からぜひ歌いたいと思っていた、お気に入りの曲。
もう一つは悩みましたが、フォスターの「夢路より」
これは日本語で歌います。
「夢路より」はアメリカ民謡で馴染みの曲ですね、
知られ過ぎて、かえって難しい。でも、美しい曲です。
最初は恋人を賛美する曲かと思いましたが、
実は自分の再出発の意味が込められている
というのです。
どんなことか、興味を覚えました。
例により、インターネットで
フォスターの人生を調べてみることに。
私の子供のころ、公開された映画でフォスターの
一生を描いた映画があります。
題名は「懐しのスワニー」(1951年6月12日公開 )
ほぼ忠実に史実をなぞっている、伝記映画です。
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「映画のストーリー」
米ペンシルベニア州ピッツバーグ。
無名の作曲家スティーブン・フォスターは、
好きな作曲に没頭すると恋人ジェーン
とのデートさえ忘れがちな青年だった。
ルイスヴィルのジェーンの家に行ったフォスターは、
彼女の父が二人の結婚に反対していることを知ったが、
彼は断じて作曲以外の仕事に担わろうとはしなかった。
彼は町でクリスティというミンストレル*に逢い、
自作「おおスザンナ」を15ドルで売った。
この曲は大当りし、のちクリスティはフォスターの真価を認めて、
彼の名曲はこの楽団によって次々と世に出た。
ニューヨークに出たフォスターはやっとジェーンを妻に迎える
ことが出来たが、しかしこの頃手を着け始めた純音楽は
惨憺たる悪評で、彼は次第に酒に馴染むようになった。
再び民謡に帰った彼は、ジェーンとの間に出来た
マリオンにとってもよい父であったが、南北戦争にあおられた
民衆は彼の南部調の歌を敬遠、彼は再び酒に溺れ、
ついにジェーンは娘を連れて去って行った。
酒と失意で芸術から縁を絶って行った彼の許にある日
ジェーンが訪れ、
彼女の激励で彼は三度立上がった。
しかし新曲発表の日、彼は持病の発作を起こして倒れ、
新曲スワニー河が舞台で絶賛をあびているのも聞かず、
ひとり死へ旅立って行ったのであった。
*ミンストレルとは:
白人が顔を黒く塗り、黒人の格好を真似て歌い踊るショーの
一形態で、フォスターの幼少期(1820年後半から1830年前半)
から爆発的人気を呼んでいた。
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南部の裕福な家に生まれたフォスターは当時流行していた、
ミンストレル・ショーで若くして有名になり、
作曲家として次々と作品を発表して日の出の勢いでした。
しかし、彼の南部調の歌は南北戦争で環境が大きく変わります。
時代に次第に受け入れられなくなっていきます。
人生の後半は酒におぼれ、失意の生活でした。
そして飲酒によるケガがもとで37歳の若さで
この世を去ってしまいました。
この映画の題名「スワニー河」は大河でなく、
フロリダの小さな川だそうです。
字数がちょうど良かったので題名にしたとか、
そんな安易な!とも思いますが、
天才といえども本質はそんなもかも。
フォスターの歌はすっかりアメリカ民謡として、定着しており、
音楽家としては忘れ去られがちですが、
まぎれもなく、クラシック音楽の一角に存在するのです。
それだけ、民衆に溶け込んだという見方もあり、
器楽を作曲しなかったからだなどいろいろと説はありますが
その人はなくなっても、名前と歌は残り人を癒し続けるのです、
羨ましいですね。
そして、フォスター最後の作品が「夢路より」
(Beutiful Dreamer)です。
死の数日前に作曲されたといいます。
★日本語の意訳を見て見ましょう。
1、美しき夢見る人よ、我が為に目覚めよ
星の光と露の雫が汝を待つ
暴な俗世の喧騒は
月の光に優しく照らされ、すべて過ぎ去りぬ
我が歌の女王、美しき夢見る人よ
汝への愛の調べを聴き給え
雑踏に犇く日々の悩みは消え去らん
美しき夢見る人よ、我が為に目覚めよ
美しき夢見る人よ、我が為に目覚めよ
2、美しき夢見る人よ、海原に出でん
人魚たちがローレライの歌を口ずさむ
小川の上にかすみが立ちこめ
朝の日差しに消え行くのを待つ
美しき夢見る人よ、我が心の希望の光
小川や海の朝の中で
悲しみの雲海は消え去りゆかん
美しき夢見る人よ、我が為に目覚めよ
美しき夢見る人よ、我が為に目覚めよ
(引用:「世界の民謡・童謡」より)
2番の歌詞で、「Mermaids(人魚)」や「lorelie(ローレライ)」
という言葉がでてきます。ドイツ歌曲「ローレライ」のことでしょうね。
ローレライの岩にいる、金髪の美女の魔性の歌声に
心を奪われ、舵をあやまり岩に激突するという伝説を描いた歌ですね。
ローレライに対してフォスターが抱いていたイメージを
「夢見る人」で表わしたのかもしれません。
そして、
「雑踏に蠢く日々の悩みは消え去らん」
「わが心の希望の光」
「わが為に目覚めよ」
という歌詞からは、自分の境遇になぞらえて、
再びの成功を夢見る気持ちが痛いほど伝わってきませんか。
この「夢路より」はフォスターにとっても特別な歌だったと思います。
美しくて歌いやすいから、という理由で選曲しましたが、
フォスターの境遇を知るに及んで
今、どういうように歌うか悩んでいます。
復活を願う、フォスターの気持ち、そして
「ローレライ」にも負けない、美しいメロディー。
でもプロのような表現力はないので、
一生懸命に歌うしかありませんね。
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